ソニー 映画事業のソニー・ピクチャーズ売却を検討中か

New York Post(2017年1月19日付)によると、ソニー株式会社はソニー・ピクチャーズエンタテインメント・インク(SPE)の売却を現実的に検討する段階へ入ったようです。

同紙では複数の情報筋から得た話として「すべての銀行が売却の提案をしている」などと伝えており、急遽来日してソニーへ提案書を出した投資銀行などもあるようです。買収側の企業名は挙がっていませんが、CBSは長年に渡ってSPEを狙っているとされており、近年ハリウッドへ進出している中国系企業もその競合相手になる可能性が。また、ソニーとしては現時点で売却の決定は下しておらず、8月に全米公開予定の映画『The Emoji Movie』の成績を見極めた上で最終的な判断をしたいようです。

一方で音楽分野を総括するソニー・ミュージックエンタテインメント・インク(SME)については、経営が順調であり、CBS・ソニー出身であるソニー株式会社の平井一夫社長はSMEを売却の対象外としている模様です。

米国法人であるSPEの事業は、主軸であるモーション・ピクチャー・グループ(コロンビア・ピクチャーズ、トライスター・ピクチャーズ、スクリーン・ジェムズ、ソニー・ピクチャーズアニメーションの各映画製作レーベルや、配給、ホーム・エンタテインメントなどの映画ビジネスを統括)、ソニー・ピクチャーズテレビジョン(テレビ番組の制作、配給、フォーマット販売など)、ソニー・ピクチャーズスタジオ(映画・テレビ番組の制作施設運営)などの部門に分かれています。

SPEの映画部門は世界興収11億ドルを突破した『007/スカイフォール』などのヒット作を放った影響で、2012年の北米市場シェアはメジャー6社中トップを記録。不振が続くエレクトロニクス部門を支援する役割も果たしてきました。しかし、近年はそのシェアも低下。2016年のシェアは5位で8%と低迷しています。

ソニーとってはエレキが本業本筋であり、SPEなどのエンタメ部門は副次的事業として捉え、特に日本国内ではこれを重要視しない向きもあります。SPEの売却は短期的にソニーへ利益をもたらし、このような見方をする株主・経営陣を満足させそうですが、エンタメ企業としての「SONY」の名はスクリーンやテレビ画面を通じてアメリカのみならず世界で30年近くかけて根ざしてきたもの。映画ビジネスからの撤退は、時に「本業」を支えてきた機能の一つを失うというだけでなく、中・長期的には「SONY」ブランドの求心力低下に繋がり、逆にネガティブな事態を導くことになるかもしれません。

なお、これまでダニエル・クレイグ主演の007シリーズ4作をMGMと共同製作・配給してきたソニー・ピクチャーズは『007/スペクター』後も次回作への意欲を示してきましたが、先日退任を表明したマイケル・リントン会長の後任者が未定になっており、売却の可能性で会社自体が揺れ動くとすれば、MGMとの交渉中断や断念もあり得そうです。