『Bond 25』北米配給会社がユニバーサルへ変更の可能性?

Deadline(2018年10月10日付)によると、『Bond 25』の北米配給会社がユニバーサルへ変わる可能性がハリウッドで取り沙汰されているようです。

映画007シリーズ次回作『Bond 25』の配給会社は、北米がMGM、海外はユニバーサル・ピクチャーズ。MGMは長期に渡って配給部門を閉鎖した状態が続いたため、北米配給の実務は新興スタジオのアンナプルナ・ピクチャーズに委託する契約を結んでおり、『Bond 25』におけるMGMは名目上の配給会社です。

今、問題となっているのは、アンナプルナの経営状況。

同社はミーガン・エリソンが2011年に創立。『ゼロ・ダーク・サーティ』『her/世界でひとつの彼女』『アメリカン・ハッスル』など、アカデミー賞レースを賑わす話題作を次々と投入し、インディペンデントの映画製作会社として破竹の勢いを見せてきました。2017年には自社配給も開始。早くもその数ヶ月後にMGMとのジョイント・ベンチャーを発表、MGM作品の受託配給を2018年3月から開始しています。

しかし、大ヒットが見込めないアート系映画に惜しみなく資金を注ぐミーガンの情熱も災いしたらしく、自社配給を始めてからの作品に約2億ドルの製作費を使ったものの、北米興収は5作合算で4千万ドル未満と、苦戦を強いられている様子です。

さらに、2018年10月に入って、アンナプルナは計画中だったジェニファー・ロペス主演映画と、ニコール・キッドマン出演映画の製作を突如放棄したことが明らかに。また、2018年だけでアンナプルナの社長やCFO、先日も映画部門トップなど、鍵となる人材が短期間に次々と同社を去っており、同社の経営は困難な事態に直面していると言えそうです。

救いはミーガンの父で世界的大富豪のラリー・エリソン。父からは経営上のアドバイスや資金注入も受けている模様。今後はMGM映画の配給も業績向上に寄与すると見られているようです。

しかし、アンナプルナの経営が更に悪化した場合、『Bond 25』の海外配給を任されているユニバーサルがアンナプルナに取って代わり、北米配給も担う可能性が囁かれているようです。

ダニエル・クレイグ4作を世界配給したソニー・ピクチャーズは共同製作会社として出資も行いましたが、アンナプルナは製作には関与しておらず、ここでMGMが北米配給を他社に乗り換えたとしても、ダメージは比較的小さいかもしれません。

そもそも、ブロックバスター作品を扱ったことがなく、配給会社として経験の浅い、アート系志向の強いアンナプルナに、007映画の配給を委託したMGM経営陣の判断には疑問を抱かざるを得ません。MGMは、007映画を実績と安定感のある競合他社に配給させるよりも、自社ブランドで公開することを優先させ、融通の利くアンナプルナを『Bond 25』1作限りのパートナーとして選んだ可能性も考えられます。