ユナイテッド・アーチスツ社創立100周年記念日を迎えた2019年2月5日、MGMとアンナプルナ・ピクチャーズは、配給レーベル「United Artists Releasing」(ユナイテッド・アーチスツ・リリーシング)の立ち上げを発表しました。

MGMとアンナプルナは2017年にジョイント・ベンチャーを組み、北米での配給活動を共同で始めましたが、MGM作品はMGMの名で配給していました。しかし、今後の両社の作品は「United Artists Releasing」としてリリースされるようで、他社の作品も同様に取り扱うとのことです。

007映画は元々、ユナイテッド・アーチスツ(ユナイト)の製作・配給で、劇場上映時には同社のロゴが付けられていましたが、MGMに買収されたことで第13作『007/オクトパシー』(1983)と続く『007/美しき獲物たち』(1985)ではMGMのライオンのロゴが付いていました。

ティモシー・ダルトン主演の『007/リビング・デイライツ』(1987)ではMGM/UAロゴと共にユナイト・ロゴが復活。その後は、ピアース・ブロスナンの『007/トゥモロー・ネバー・ダイ』(1997)までユナイト・ロゴの単独使用が続きますが、MGMの戦略でユナイトはアート系部門としての立ち位置を強めたため、『007/ワールド・イズ・ノット・イナフ』(1999)からはMGM作品として、ライオン・ロゴのみを使用し、ユナイトを排除。

ダニエル・クレイグ主演のこれまでの4作はMGMとソニー・ピクチャーズの2社のロゴが付けられてきましたが、今回の再編によって『Bond 25』ではユナイト・ロゴが再復活することに。また、ライオンのロゴも併用される可能性があり、日本では更に、ユニバーサル・ピクチャーズのロゴも付けられることになりそうです。

なお、1980年代初めにMGMがユナイトを買収後、しばらくはMGM/UAとして存続していましたが、オーナーのカーク・カーコリアンが1986年に同社をテッド・ターナーへ売却。直後にカーコリアンは、ターナーから同社の一部を買い戻す荒技を成し遂げます。ただし、1986年以前のMGM作品の諸権利はターナーがそのまま保有。カーコリアの手に戻ったのは007や『ロッキー』など、ユナイトが元々所有していた作品。カーコリアンがターナーから取り返せたMGMの有益な資産はその商号とロゴで、これらを現在に至るまで旧ユナイト・ライブラリーにも使用。知的財産の観点からすると、1986年から現在に至るまでMGMと名乗っているこの映画会社は、実質的に旧ユナイトの後継会社とも言えます。


2/6 追記:「United Artists Releasing」としての活動は北米市場に限定されている為、日本の劇場で公開される『Bond 25』にはユナイト・ロゴが付かない可能性も考えられます。