Variety(2020年1月15日付)は、『007/ノー・タイム・トゥ・ダイ』のプロデューサー、ダニエル・クレイグ、キャリー・フクナガ監督らのインタビューを掲載しています。
プロデューサーのマイケル・G・ウィルソンとバーバラ・ブロッコリとのインタビューは2019年12月ニューヨークで実施。
ダニエル・クレイグ後の新ボンド俳優について問われたウィルソンは「ボンド俳優と言えば英国か英連邦出身だが、英国は多民族国家だ」と指摘。ブロッコリも「肌の色は関係ないが、男に限る」とコメント。英国系出身者への拘りは持ち続けている様子ですが、人種は問わないとの姿勢のようです。
しかし、ブロッコリはクレイグを諦めきれない様子。クレイグは既に『007/ノー・タイム・トゥ・ダイ』を最後にボンド役から引退する意思を示していますが、ブロッコリは「完全否定している。ダニエル・クレイグの希望は尊重するが、まだ受け入れられない。私にはショックが大き過ぎる」と発言しています。
「バーバラは『ノー』という答えを受け付けない」と語るクレイグ。前作『007/スペクター』後は、ブロッコリが粘り強くクレイグを口説いたようで、彼女の提案するアイディアに興味が湧き『007/ノー・タイム・トゥ・ダイ』への続投を決めたようです。
クレイグはボンド役オーディションに参加した理由も説明。最初は自分がその他大勢の一人であり、実際に選ばれるとは考えていなかったようです。ボンド役候補だったと友人向けの話しのネタに使える……程度に考えていたそうですが、プロデューサーらは真剣であることを知ると、光栄と感じながらも当惑したとのこと。
『007/カジノ・ロワイヤル』と『007/ロシアより愛をこめて』のシーンを使ったスクリーン・テストを見守ったマーティン・キャンベル監督は「正直に言うと、直ぐにはピンと来なかった。ダニエルは素晴らしい俳優だが、イケメンじゃなかった。バーバラが強固に彼を推したんだ」とコメント。
「バーバラはいつもスタッフの面倒を見ている」と語ったのはキャリー・ジョージ・フクナガ監督。監督が体調を崩した時は、スープを作ってくれたそうです。マイケル・G・ウィルソンは、気が落ち込んだ時に励ましてくれたとのこと。
フクナガ監督がバーバラ・ブロッコリと最初に話し合ったのはサム・メンデス監督が『007/スペクター』への続投を決断する前。『007/スペクター』後に二人は再会し、ニューヨークの日本食レストランでフクナガ監督は25作目の監督をやりたいと志願したそうです。その時はまだクレイグが続投を決めておらず、ブロッコリと次のボンド俳優についてあれこれ話したとのこと。
ブロッコリは世相を注意深く007映画に反映しているとも語り、『007/ノー・タイム・トゥ・ダイ』での女性キャラクター達もTime’s Upの時代に沿っている様子。また、ボンドも現実世界の男性がそうであるように進化し続けている、としています。
『007/ダイ・アナザー・デイ』(2002)公開後はジンクス役のハル・ベリーを主人公にしたスピンオフ映画を計画していましが、MGMの反対で最終的に頓挫した際、ブロッコリは激怒したとのこと。彼女がこの映画でやりたかったことは、007小説や初期の映画で見られた男性優位の世界を変えることだったそうです。
プロデューサーらは以前、スタジオ側から提案されたイートン校時代の少年ボンドを描くテレビ・シリーズの企画を潰したそうですが、今のブロッコリはNetflixやディズニーなどのようなやり方でのストリーミングの可能性を排除しないのだそう。それを決めるのは自分たちではなく、観客だとも語っています。