米エンタメ雑誌Entertainment Weekly(2020年1月21日付)が、映画『007/ノー・タイム・トゥ・ダイ』を特集しています。

同誌は2019年10月、イギリスのパインウッド・スタジオで行われた『007/ノー・タイム・トゥ・ダイ』の撮影を見学。

その日はハバナのホテルを模したセット内で、ジェームズ・ボンド(ダニエル・クレイグ)とCIAエージェントのパロマ(アナ・デ・アルマス)がスペクターの一味と闘うシーンを撮影中。

ボンドは負傷したスペクターの手下が放り投げる銃を掴み取ると、パロマを抱きとめ彼女の周りをグルリと移動、発砲した直後に彼女を放し、二人は柱の影に隠れる……という流れだったそうです。

クレイグは銃を掴んだものの、うまく扱えず失敗。苛立ちの表情を見せたクレイグは現場を放棄しその場から立ち去ったのだそうです。

そのクレイグは撮影完了後、ニューヨークで12月に同誌とのインタビューに応対。

前作『007/スペクター』は足の怪我が治りきらないまま撮影を終えたとのこと。その当時は、体力的にあと1作できるのか、自分はもう1作やりたいのか、自問したと言います。また、妻へ「撮影中に足を怪我した」と電話したくないとも。

今作『007/ノー・タイム・トゥ・ダイ』でも濡れた浮きドックを走る場面で滑って転倒、再び足を負傷しました。医師からは手術すれば10週間後には走れると言われたものの、それでは間に合わないため、2週間で撮影に復帰したそうです。

ダニー・ボイル監督の降板理由について問われたプロデューサーのバーバラ・ブロッコリは、ボンドの死をめぐる意見の対立が原因との噂を否定。特定の問題があったわけではなく、ボイルとプロデューサーの思い描いた絵が違ったと語っています。

ブロッコリや共にプロデューサーを務めるマイケル・G・ウィルソンは、ボイル降板を受けて『007/ノー・タイム・トゥ・ダイ』制作の中止も検討したのだそう。しかし、当初はスケジュールの合わなかったキャリー・フクナガ監督が参加できることになり、制作は中断することなく動き始めます。

フクナガ監督は着任した当時を振り返り、車体が完成していない列車の車輪に飛び乗るようなもの、と表現。そして、組み立てながら引き返せないポイントへ向けて突っ走った、と語りました。

プロダクション・デザイナーのマーク・ティルデスリーによると、フクナガ監督はボイル監督よりも脚本にこだわりを持っているそうで、言葉選びに慎重な様子。フクナガ監督自身も、想定より長く時間をかけてしまい、周囲からプレッシャーを掛けられた、と回想しています。

デイリー・メール紙がラシャーナ・リンチのキャラクターは「007」とスクープし、世間がこの話題でもちきりとなったことについては、ブロッコリは喜びながらもイライラするという、複雑な心境だったそうです。なお、ブロッコリはこの報道内容の正確性を暗に批判しています。

また、ブロッコリは『007/ノー・タイム・トゥ・ダイ』のストーリーについて、これまで発表された粗筋内容から一歩踏み込んで説明。

ボンドとマドレーヌ・スワン(レア・セドゥ)はロマンティックな旅に出るものの、途中でボンドは彼女が自分を裏切っていると信じ込んでしまうとのこと。2人は別れることになり、ボンドはジャマイカでの引退生活を独りで過ごすそうです。

CIAのフェリックス・ライターがボンドへ科学者救出を依頼することは既に発表されていましたが、この科学者を演じているのがダーヴィッド・デンシックとのこと。仕事を請け負ったボンドはキューバへ向かい、ラミ・マレックの演じる悪役サフィンの影を追うことに。

スペクター首領のブロフェルド(クリストフ・ヴァルツ)が戻ってくることも明らかになっていましたが、彼は収容されているロンドンのベルマーシュ刑務所からスペクターの仲間と連絡を取り合うとのことです。

引退を表明したダニエル・クレイグ後の新ボンド俳優について尋ねられたブロッコリは、映画の完成に向けてやることが多く残っており、今はそのことを考えられないのだそう。「正直に言えば、ダニエルのその事については拒否している。今は向き合うことが全くできない」と語っています。

Entertainment Weeklyは『007/ノー・タイム・トゥ・ダイ』キャストの同誌独自写真を複数掲載している他、新しい場面写真や撮影現場写真8点も併せて公開。ボンドとマドレーヌの逃避行シーンや、マネーペニー、タナー、Qの3人が一緒に映るMI6内部らしき様子も。フクナガ監督とラミ・マレックが写る舞台裏も確認できます。

この他、同誌はダニエル・クレイグ、ラミ・マレック、レア・セドゥ、ラシャーナ・リンチが参加した座談会映像も公開(YouTube、1月21日付)。

クレイグが子供の頃に初めて観た007映画は『007/死ぬのは奴らだ』で、最初は怖いと感じたそうです。マレックから何か大きな影響があったかと訊かれると、「ジェームズ・ボンドを演じることになった」と答えています。

ちなみに、マレックが最初に観たのは『007/ドクター・ノオ』か『007/ゴールドフィンガー』、セドゥとリンチは『007/カジノ・ロワイヤル』だと語っています。

カラオケで歌うならどの主題歌かとの問いに、クレイグとリンチが選んだのは『007/ゴールドフィンガー』。マレックは『007/ダイヤモンドは永遠に』。セドゥは『007/ゴールデンアイ』でした。

最後にクレイグは、本作が自分にとって最後の007映画になるだろう、と改めて発言しています。