Deadline(2020年2月2日付)によると、全米で1月31日から劇場公開されている映画『The Rhythm Section』が史上最低の興収を記録したそうです。
同作の初週末の興収額は280万ドル。公開初週における3,000スクリーン以上の規模の上映作品としては最低額に。
『The Rhythm Section』製作費は5000万ドル。配給会社パラマウントは3100万ドルを出資しているそうで、同社の赤字は3000万から4000万ドルにのぼる見込みとのこと。
同作はイギリスでも同日公開されていますが、その他の主な海外市場での劇場公開は未定となっており、北米での成績不振から、このまま見送りになる可能性があるようです。
Deadlineでは敗因となった問題点を複数挙げていますが、まずトラブルの原点は製作会社IM Global。もともと『The Rhythm Section』は同社の企画だったようで、経営トップがイオン・プロダクションのプロデューサーの友人だった関係性から、イオンが制作することになった模様。しかし、途中でその経営トップが同社を去り、中国系企業がIM Globalを買収。製作費は中国側から出資されることになりましたが、スムーズに注入されなかったようです。
より大きな問題とされるのが脚本内容。原作小説を書いたマーク・バーネルが脚本も自身で手掛けています。
また、イオン・プロとパラマウントの間には、ミスコミュニケーションがあったとのこと。イオンはフィルム・ノワール的な作風を目指していたものの、途中から参加したパラマウントは、女性版007の様な映画を期待していたようです。
なお、主演のブレイク・ライヴリーが右手を負傷し半年間撮影が中断しましたが、保険でカバーされた為、製作費的な影響はなかったそうです。
編集段階では、リード・モラーノ監督、ブレイク・ライヴリー、イオン・プロダクションの3者間で意見の対立が見られたとのこと。最終的には、イオンのプロデューサーが希望する仕上げとなっています。
パラマウントは2018年秋にテスト・スクリーニングを実施。この時、『The Rhythm Section』は同社の試写史上、最悪レベルの出来栄えと判断されてしまったようです。その結果、同作の広告宣伝費は、拡大リリース作品としては最低水準となる2000万から2500万ドルしか投入されなかったとのこと。
公式SNSが本格始動したのは公開直前。その投稿頻度も少なく、Instagramアカウントは当初発表されたアドレスが運用途中で変更になるなど、混乱も見られました。
なお、イオン・プロダクションは『The Rhythm Section』製作費を出資していないようです。この為、同作の興行的失敗はプラスにはならないものの、同社財務への悪影響は限定的と思われます。