ノルウェー紙VG(2020年2月19日)は、映画『007/ノー・タイム・トゥ・ダイ』のパインウッド・スタジオ訪問記を掲載しています。
この訪問は、撮影終了まであと2日というタイミング。
プロデューサーのマイケル・G・ウィルソンの話では、最初の撮影場所はノルウェーのニッテダルにある湖Langvannとオスロ近郊の湖Lutvannだったとのこと。
Langvannでは氷の張った湖の上にコテージのセットを制作。水中シーンは、透明度の高いLutvannで撮影されたそうです。氷の溶ける心配があったようで、撮影は約1週間で終了。
このノルウェー・シーンは重要で、全シーンがIMAXカメラで撮影されたとのこと。同地が幕開けとなるプレタイトル・シークエンスは20分間に及ぶそうです。
ウィルソン氏がコメントした時点で編集は終わっていないため若干の変更は考えられますが、20分間のプレタイトルは007シリーズ史上最長記録となります。
また、プロダクション・デザイナーのマーク・ティルデスリーは、ノルウェー・シーンの内容について踏み込んで発言。少女時代のマドレーヌ・スワンが登場し、母のいる湖畔のコテージを訪問するそうです。この時の出来事が彼女の人生に強い影響を与えるらしく、後に大人になったマドレーヌはこの場所を再訪する模様。
少女マドレーヌが登場することは、撮影当時から噂になっていましたが、この記事で公に確認されました。演じているのはローティーンの少女の模様。
これまでの007映画では子供のキャラクターにほとんど焦点を当てておらず、本作ではクレジットを受ける初のローティーンの子役が登場することになりそうです。また、過去シーンが本格的に描かれるのも本作がシリーズ初です。
ティルデスリーは続けてコテージのセットについても説明。キャリー・フクナガ監督の要望で湖の端に作られたとのこと。気温上昇のおかげで氷が溶けかかりセットが沈み始めたので、撮影は時間との戦いだったようです。
コテージ内部のシーンはパインウッドで撮影。ノルウェーに戻る時間的余裕がなかったため、外観セットはイギリスでも作られており、レア・セドゥの演じる大人のマドレーヌが訪れる場面で使われたそうです。
同作はスコットランドでもロケ撮影が行われましたが、劇中ではノルウェーになっているとのこと。
なお、バーバラ・ブロッコリによると、当初はノルウェー側からロケ撮影のインセンティブとして4700万クローネの補助金交付が認められたそうですが、実際に費やしたロケ経費は想定よりも少なく、最終的な補助金額は1500万クローネになったとのこと。
ブロッコリは、ダニエル・クレイグが『Bond 26』に続投する可能性を訊かれると「ダニエルを説得しようとした」と返答。しかし、クレイグの降板の意思は固かったようです。
話がフィービー・ウォーラー=ブリッジに及ぶと、ブロッコリは007シリーズの女性脚本家は過去に二人いると発言。ジョアンナ・ハーウッドと、クレジットされなかったダナ・スティーヴンスの名前を挙げています。またウィルソンは、キャリー・フクナガを監督に選んだ理由の一つとして、脚本家としての優れた才能があったことをコメント。
主題歌アーティスト選考のプロセスについて、ブロッコリは、かなり早い段階からアプローチを始めると説明。映画のムードを反映することは重要であり、有望な候補者には台本を送っていると明かしました。
『007/ノー・タイム・トゥ・ダイ』制作中のトラブルについて問われたウィルソンは、どの映画でもトラブルはあるとコメント。ブロッコリは、計画通りに進むことはないとしつつ「終わり良ければすべて良し」と語っています。