ユニバーサル作品を国内配給する東宝東和は2020年3月5日、映画007シリーズ最新第25作『007/ノー・タイム・トゥ・ダイ』の日本公開延期を発表しました。日本での延期は、イギリス公開日が2020年11月12日、アメリカが11月25日へ延期されたことに連動するものです。
『007/ノー・タイム・トゥ・ダイ』は当初、アメリカと同日になる4月10日の劇場公開予定でした。新公開日は現在調整中で、後日改めて発表されるとのこと。購入済みの前売券は、そのまま使用可です。
延期発表は4月2日のイギリス公開日まで1ヶ月を切った後でのタイミング。様々なメディア・企業を巻き込んだ宣伝が4月公開を目標に各国で始まっていましたが、この段階での7ヶ月後への先送り決定は、かなりの混乱を引き起こしそうです。
公開延期の原因は、世界各地で広がっている新型コロナウイルス感染症(COVID-19)。ハリウッド映画がCOVID-19流行を背景に世界規模で公開日が変更されるのは、『007/ノー・タイム・トゥ・ダイ』が初となるようです。
この公開延期の報道を受け、ニューヨーク株式市場の興行関連株は軒並み値を下げた模様。
アメリカでもCOVID-19の影響は広まりつつあり、映画・テレビやIT関係のイベント中止が徐々に発表。一方、劇場上映への影響はまだ限定的で、同国内で公開延期が発表されている作品は今のところ『007/ノー・タイム・トゥ・ダイ』以外にない模様。ユニバーサルは逆に、別作品の公開時期を早め、『007/ノー・タイム・トゥ・ダイ』が抜けた4月10日の全米公開を決定しています。
ただし、『007/ノー・タイム・トゥ・ダイ』をきっかけに、今後は玉突き的な公開延期・変更の動きが始まる可能性もありそうです。
007映画は初期作品を除き、伝統的に興行収入の約7割を海外市場に依存しており、この国際的人気を背景に『007/ノー・タイム・トゥ・ダイ』はイギリスを皮切りとして、ほぼ同時期に世界各国で公開する計画。今回の公開延期は、世界第2位の映画市場である中国、本作の主要ロケ地として自国内の関心も集まっているイタリア、韓国、フランスなどで増えている劇場閉鎖や日本の動向が大きな引き金になった模様で、これにアメリカが引きずられた形になります。
公開延期の発表に先立ち、中国・韓国・日本への宣伝ツアー計画の中止が報道されていましたが、新たな公開日が設定されることで、俳優の参加するアジア・ツアーが実現するかもしれません。
なお、新たに決まった全米公開日は、映画館が賑う感謝祭連休のある週の水曜日。これにより、アメリカでの公開初週の興収は5日分が計算され、記録的には有利となりそうです。
3/5追記
劇場公開延期との関連性はないと思われますが、『007/ノー・タイム・トゥ・ダイ』ではジェームズ・ボンドの敵サフィンが遺伝子操作を行っていることや、生物兵器を所有していることが報じられており、この兵器はウイルスを使っている可能性があります。
参照:
‘No Time To Die’ Release Date Moving To Fall In Hopes Global Theater Biz Back At Full Strength
(Deadline、3月4日付)
‘No Time to Die’ Postponed Due to Coronavirus Outbreak
(Variety、3月4日付)
‘No Time to Die’ Release Delayed Due to Coronavirus Outbreak
(The Hollywood Reporter、3月4日付)
Movie Theater Stocks Dim As James Bond Release Pushed To Fall
(Deadline、3月4日付)