英映画雑誌Total Filmの2020年3月号は、『007/ノー・タイム・トゥ・ダイ』を特集。俳優やスタッフのインタビュー記事を掲載しています。
『007/スペクター』(2015)後、ダニエル・クレイグはボンド役としての去就をはっきりさせませんでした。プロデューサーのマイケル・G・ウィルソンとバーバラ・ブロッコリは、この間クレイグを説得し続けていた訳ではなく、2年近い間をあけてからアプローチしたとのこと。同作で膝を負傷したクレイグは、医師から休息の指示を受けていたそうです。
マイケル・G・ウィルソンはクレイグの5作を「シリーズ中のちょっとしたミニシリーズ」と表現。
キャリー・フクナガは2017年、贔屓にしているニューヨークの日本料理店へバーバラ・ブロッコリを誘い接待。007映画への愛を語りながら、自分を第25作の監督として売り込みます。その時点のクレイグは降板の意思を示していたので、フクナガとブロッコリの2人は新ボンド候補者について話し合ったとのこと。しかしダニー・ボイルが第25作の監督に就任し、フクナガは落胆。
フクナガはボイルが監督を辞任した頃に『マニアック』を終了。仲間と朝食中、「ボンド・ガールをやりたいからあなたは『Bond 25』の監督をやって」と冗談ながらも嗾けられたのだそう。これでフクナガは思い立ち、ブロッコリにメールを送信。フクナガはクレイグとも話し合って監督に決まります。
衣装担当スティラット・ラーラーブの話では、サフィン(ラミ・マレック)が初登場するシーンで着けるマスクは元々トゲ付きで、シベリアの熊狩り用防護スーツを参考にしたもの。撮影日が近づくと、フクナガ監督はこのシーンからサフィンの手下を削除。マスクも能面に変更されました。
プロダクション・デザイナーを務めるマーク・ティルデスリーはセット作りにあたり、ケン・アダムによるセット・デザインを回顧。また、サフィンの基地は安藤忠雄の建築をかなり参考にしています。なお、サフィンは化学・製薬企業を営む一家の出身のようです。
パインウッド内にはキューバの街角を模したオープンエアのセットが7週間で組まれました。そのうち3つの建物は完全な形で制作。ハバナのカフェを参考にしたというバーの「El Nino」は螺旋階段付きの2階建て。内容が印刷されたカクテル・メニューが用意されるなど内部の詳細にも拘っています。
その他、ジェフリー・ライトの演じるフェリックス・ライターは、劇中で過去の007映画主題歌を口ずさんでいるそうです。
同誌は『007/カジノ・ロワイヤル』のボンド・ガール、エヴァ・グリーンのインタビューも掲載。グリーンは、父親が自分のことを初めて誇りに思ったのがボンド・ガールになった時だったと語っています。