米雑誌『American Cinematographer』2020年4月号は、映画『007/ノー・タイム・トゥ・ダイ』を特集し、スタッフとのインタビューを掲載しています(オンライン版とPDF版が無料提供中)。

同作で撮影監督を担当したリヌス・サンドグレンは子供の頃から007映画のファンだった模様。同シリーズに影響を受け10代でスーパー8を撮り始めたとのこと。キャリー・フクナガが『Bond 25』の監督に就任して間もなく、プロジェクトに誘われたそうです。サンドグレンの話では『007/ノー・タイム・トゥ・ダイ』は感情を深く描いており、ユーモアも多いとのこと。

撮影で使用したフィルムは35ミリと65ミリ。画面のアスペクト比変更(2.39:1とIMAXの1.90:1/1.43:1)をスムーズに見せる為、シークエンス全体で同一フォーマットを貫いており、カット単位の切り替えはないそうです。

65ミリで撮影されたのはプレタイトル・シークエンスで、凍った湖上にサフィンが登場するノルウェーの場面とイタリア・マテーラのカーチェイス。ビリー・アイリッシュの歌が流れるタイトル・シークエンスを挟んでアナモルフィック・ワイドスクリーンに変更。その後、キューバを舞台にボンドとノーミが共に闘うシーンで再びIMAXのアスペクト比が戻ります。

サンドグレンは、2.39(2.40)とIMAXの1.43との切り替えは特に問題がないとの考え。IMAX上映中であっても人間の目は2.39部分に集中しており、スクリーンの上下は追加的な周辺映像と捉えているようです。

ジャマイカのロケ地ポート・アントニオは劇中でキューバになる模様。パインウッド・スタジオで作られたオープンエアのセットは、キューバの都市サンティアゴ・デ・クーバとのこと。タキシード姿のボンドが参加しているのはスペクターが開催するパーティーのようです。

プロデューサーのマイケル・G・ウィルソンとバーバラ・ブロッコリは同誌からの質問に返答。撮影監督の起用は監督と協力して決めるとのこと。フィルムとデジタルのフォーマット選択については、監督と撮影監督の希望に任せているようです。アクション・シーンの設計は監督と第2斑が担当し、スタントと特殊効果チームが発展。スピンオフの可能性については、007映画の制作に注力している為、現時点で計画はないのだそうです。