作詞家ドン・ブラックの回顧録『The Sanest Guy In The Room: A Life In Lyrics』がConstable社から2020年7月23日に発売されます。
ドン・ブラックは007シリーズ5作に参加。担当した主題歌はジョン・バリーが作曲の『007/サンダーボール作戦』『007/ダイヤモンドは永遠に』『007/黄金銃を持つ男』、デヴィッド・アーノルド作曲の『007/ワールド・イズ・ノット・イナフ』。『007/トゥモロー・ネバー・ダイ』のエンディング曲『サレンダー』も手がけました。
Daily Mail Online(2020年7月11日付)では、同書からの抜粋を紹介。
トム・ジョーンズが『007/サンダーボール作戦』を歌いあげる際、ハイノートで失神したとの有名な話がありますが、これはほぼ間違いないと肯定。ただし、厳密には頭がボーっとフラつく感じで、すぐ元に戻ったとのこと。
特に気恥ずかしい思い出もトム・ジョーンズと。ジョーンズはマネージャーに頼まれ、渋々リベラーチェのコンサートに客として出席することになり、ブラックを同伴。リベラーチェはコンサート中に二人を聴衆へ紹介。挨拶後、ジョーンズは「これ以上聴いていられない」とブラックを連れて早々に席を立ち、バーで酒を飲むことに。
コンサートが終わる前に席へ戻ろうとしていましたが、時既に遅し。リベラーチェが、今夜来てくれた二人に感謝します、とアナウンスした際にスポットライトが当たったのは、二つの空席だったそうです。
『007/ダイヤモンドは永遠に』は主題歌が完成した後にプロデューサーのハリー・サルツマンへ初披露。聴き始めたサルツマンは次第に怒りの表情を見せ、メロディと歌詞の両方にダメ出しすると、その場にいたジョン・バリーと口論。幸いにも別のプロデューサー、アルバート・R・ブロッコリとシャーリー・バッシーが気に入ってくれたので、却下にはならなかったようです。
歌詞中には何度も「ダイヤモンド」が出てきますが、ジョン・バリーはバッシーに対し、これは男性器の意味だと思って歌うように、と指導したのだとか。
ドン・ブラックとジョン・バリーのコンビが手がけ、マット・モンローが歌った映画『野生のエルザ』の主題歌『Born Free(ボーン・フリー)』は、アカデミー歌曲賞を受賞しましたが、当初はプロデューサーがこれを気に入らず、公開直前に映画から削除していたのだそう。ブラックやモンローがこれを知ったのは、ロイヤル・プレミアで映画を観た時だったそうです。
しかし、この決定が過ちだったと気づいた映画会社が大慌てで劇場から全フィルムを回収。モンローの歌声を入れ直したとのことです。
なお、ジョン・バリーとの仕事の手順は、彼の書いたメロディに歌詞を当てはめるやり方で、非常にやりやすかったそうです。
同書ではこの他にも、少年時代のマイケル・ジャクソンとの付き合いなどについても触れています。