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The Wall Street Journal(2020年10月10日付)は映画『007/ノー・タイム・トゥ・ダイ』のキャリー・ジョージ・フクナガ監督やプロデューサー、キャストらとのインタビューを掲載しています。

フクナガ監督へのインタビューはCOVID-19の影響による1回目の公開延期が発表される以前の2020年2月に実施。その後、再延期が発表される10月に至るまで追加で複数回行われたようです。

公開待機期間、フクナガ監督は自宅のあるニューヨークでほとんど缶詰状態。『007/ノー・タイム・トゥ・ダイ』の公開延期はプロデューサーとスタジオ重役らが判断しましたが、反対意見が多くあったそうです。

フクナガは2016年のはじめにバーバラ・ブロッコリを招待し、自身の目指す007映画像をプレゼン。『Bond 25』監督のオファーはダニー・ボイルへいきますが、そのボイルが監督を辞任。プロデューサーは「情熱と自信に満ち溢れた」フクナガに監督のオファーを出します。

フクナガはマーベルやルーカスフィルム重役とも面談したことがあるそうですが、007映画には心理的な面で探究の余地があると感じたとのこと。彼が手掛けた映画『闇の列車、光の旅』『ジェーン・エア』『ビースト・オブ・ノー・ネーション』はどれも孤児の話であり、007映画との共通点も感じとったようです。

ボイルの跡を引き継いだフクナガは昼夜に渡って忙しく、いつも脚本を書き直していたとのこと。

COVID-19による延期で、完成した作品の編集に手を加える時間的余裕が生じましたが、出来栄えに満足しており、変えようとは思わなかったとのこと。替わりに、以前から携わっていた、スタンリー・キューブリックが遺した『Napoleon』や広島原爆投下についての映画の脚本を書き続けていたそうです。8月にはギリシャのミロス島で007映画スタッフも一部参加してショート・フィルムを撮影していたとのこと。

また、フクナガ監督は『007/ノー・タイム・トゥ・ダイ』のプレタイトル・シークエンスの詳細内容を初めてメディアに明かした模様。

オープニングはスロー進行。ビジュアル指向で、フランス語会話に英語字幕が付くそうです。そして、主人公のジェームズ・ボンドは登場しないのだとか。話の中心はマドレーヌ・スワン(レア・セドゥ)の幼少時代。日本の能面をつけたサフィン(ラミ・マレック)がマドレーヌの母親を殺害し、少女マドレーヌを凍りついた湖の上で追い回す、恐ろしいシーンとのこと。フクナガが脚本を書いたホラー映画『IT/イット “それ”が見えたら、終わり。』を彷彿とさせるのだとか。後から大人になったマドレーヌとサフィンが対面するシーンがあり、このオープニングの事件が尾を引いているようです。

ボンドが父親になるとか、ボンドが生物兵器によるパンデミックの危機から世界を救うといった噂についてはコメントを回避。しかし、『007/ノー・タイム・トゥ・ダイ』について言えることは、同作が緊迫した心理的スリラー映画だ、とのことです。

フクナガ自身は明言しなかったようですが、インタビューをしたライターは、フクナガ監督が次回作『Bond 26』やその次の007映画にも興味がある可能性を指摘。

プロデューサーのバーバラ・ブロッコリはフクナガ監督は完璧主義者で、期待以上だったと評価(監督はCIAやMI5、MI6の各フィールド・エージェントに会ってリサーチをした模様)。今作をクラシックなボンド映画とも表現。また、ブロッコリとマイケル・G・ウィルソンの二人は、フクナガとは是非また一緒にやりたいと希望しています。

この他、ボンド役のダニエル・クレイグはフクナガ監督をマラソンランナーのようだと評し、監督のお陰で映画が待ち望んでいた素晴らしいスリラーに仕上がったと喜んでいるようです。