IGN(2020年12月29日付)が開催のイベント『Watch From Home Theater』に参加したマーティン・キャンベル監督とファムケ・ヤンセンは、映画『007/ゴールデンアイ』を視聴しながら同作を振り返りました。
GoldenEye Live Watch Along w/ Famke Janssen and Martin Campbell
ファムケ・ヤンセンは、ゼニア・オナトップ役の候補者は自分以外に何人いたのか、とマーティン・キャンベル監督へ質問。ヤンセンは最初にアメリカでMGMの、続いてロンドンでイオン・プロダクションのオーディションに参加したそうで、自分が複数候補の中から選考されていると感じていたそうです。
しかし、キャンベル監督はヤンセンが第一候補者だったと返答。彼女の他に真剣に検討した候補者は、いなかったようです。
そして監督は、Mを女性にしたのは自身のアイディアだ、とコメント。ただし、ジュディ・デンチを思いついたのはユナイテッド・アーチスツ社長のジョン・キャリー。
ジャック・ウェイド役のジョー・ドン・ベイカーをキャスティングしたのはキャンベル監督。キャンベル監督が手がけたイギリスのドラマ・シリーズ『刑事ロニー・クレイブン』に出演したのがきっかけとなったようです。
メインのボンド・ガール、ナターリア・シミョノヴァ役のキャスティングは、撮影まで1週間を切った時点で未定。監督は6人ほどスクリーン・テストをしたものの、納得できる女優はいなかったとのこと。キャスティング・ディレクターのデビー・マクウィリアムズはヨーロッパ中を廻って探しても見つからなかったそうで、監督がまだ探しに行ってない国はどこかと尋ねると、答えはスウェーデン。監督は急遽マクウィリアムズを同国へ派遣し、イザベラ・スコルプコに決定しました。
同作の予算は5800万ドル。スタジオ側は長年のブランクを経て公開される007映画が成功するのか不安で、多額の予算はかけられなかったようです。
ロケ地の決定は監督にフリーハンドが与えられるとのこと。プロデューサーは非常に協力的で、監督がボンドのキャラクター設定を踏み外したと感じた場合でも、頭ごなしに否定する事はないようです。
キャンベル監督は『007/ゴールデンアイ』の作曲家として、ジョン・バリーを第1候補に考えていたそうですが、バリーを含めた3、4人の候補者には断られたとのこと。そこで選ばれたのは、監督が観た映画『レオン』の担当者エリック・セラ。
しかし、キャンベル監督は『007/ゴールデンアイ』のスコアには失望している、と率直に告白。
戦車チェイスのシーンの編集に入った際、スコアの音域が戦車の効果音と重なり合い消えてしまうことに気づいたそうで、エリック・セラに電話したところ、戦車の効果音を抑えて欲しい、と言われたとのこと。監督は彼に納得せず、セラのアシスタントに作り直しを急がせたそうです。
キャンベル監督はまた、十分な予算や時間があれば、音楽をやり直したかったとの思いも滲ませており、セラが歌ったエンディング曲についても、つまらない歌だと酷評しています。
なお、戦車チェイスの最後にジェームズ・ボンドがネクタイを直す仕草は監督の出したアイディアとのこと。
ファムケ・ヤンセンはサウナ・シーンでの格闘を撮影する際、ボンド役のブロスナンに本気を出すよう依頼。そのために肋骨を骨折し、それに気づかないまま撮影を最後まで続けたとのこと。また、木に吊り上げられるシーンを撮影した直後、スタッフがそのままランチへむかい、ヤンセンを木の上に放置するという、悪戯があったそうです。