Variety(2021年5月21日付)によると、007シリーズにおけるイオン・プロダクションの存在が、MGM買収交渉をより複雑化させているそうです。
MGMの実際の価値は債務を含めて50億から60億ドルの間と見積もられているようですが、Amazonは90億ドルでMGM買収の交渉に入っていると17日に報じられました。
MGM資産を形成する映画ライブラリー4,000作品の中でも核となるのが007シリーズ。MGMを買収する側にとっては、007映画を思い通りにマネタイズできないことがネックになっているようです。
MGMは007映画の製作費を出して配給する業務を担いますが、イオン・プロダクションはボンド俳優のキャスティングなど、様々なクリエイティブ・コントロールを握っています。
仮にAmazonがMGMを買収して007映画をAmazonプライムでデビューさせようとしたり、スピンオフやテレビ・シリーズ化を計画しても、イオンのバーバラ・ブロッコリの賛同が得られなければ実現は難しい、と007映画関係者は指摘。
実際にバーバラ・ブロッコリは、MGMが配信会社への『007/ノー・タイム・トゥ・ダイ』売却を模索した際、強く反対したことが伝えられており、MGMが考えていた少年ボンドのテレビ・シリーズ化のアイディアを潰したことも自ら明かしています。
なお、Amazonは現在、MGMとの独占交渉権を得ている模様。MGM映画部門会長マイケル・デ・ルカは、2週間前にAmazon StudiosとPrime Video担当上級副社長マイク・ホプキンスへ正式なプレゼンテーションを行ったとのこと。
以前はAppleも買収協議を行っていたものの、他のメジャー映画会社同様、離脱したようです。