映画『007/ユア・アイズ・オンリー』の英国公開40周年記念日となる2021年6月24日、Varietyが同名主題歌を歌ったシーナ・イーストンとのインタビュー記事を掲載しました。
シーナ・イーストンはスコットランドのベルズヒル生まれ。子供の頃から007映画ファンだったとのこと。同郷のショーン・コネリーはもちろん、ロジャー・ムーアも大好きだったそうです。
新人がシンガーとして成長する様を描くBBC放送のドキュメンタリーに出演。EMIと契約し、『モダン・ガール』『9 to 5(モーニング・トレイン)』などのスマッシュ・ヒットを飛ばします。
『007/ユア・アイズ・オンリー』の主題歌『For Your Eyes Only』は劇中スコアも担当のビル・コンティが作曲。作詞はマイク・リーソン。
当初コンティは歌手候補としてドナ・サマーやダスティ・スプリングフィールドを希望していたものの、ユナイテッド・アーチスツがイーストンを推挙。コンティがロンドンで実際にイーストンと会い、歌声を聴いてから彼女の起用が決定した、とされています。
しかし、イーストンの認識はこれとは違うようです。彼女の話では、ロンドンで二人が会う前から彼女が歌うことは既成事実だった、とのこと。
イーストンは、主題歌がヒットしたのはプロデューサーのクリストファー・ニールのおかげだと指摘。主題歌のイントロで、映画の水中シーンに合わせて、水が渦巻くような音や潜水艦のソナー音を模して採り入れたのも、主題歌が映画とマッチするように心がけたニールの功績だと、賞賛しました。
シーナ・イーストンは007映画のオープニング・クレジットに登場する唯一の歌手となっていますが、起用の理由は、タイトル・デザイナーのモーリス・ビンダーが彼女を一目見て気に入ったから。
イーストンとビンダーが無駄話をすることはほとんどなく、ビンダーは自分の仕事に集中していたようです。このタイトル・シークエンスの演出は、水中から裸の若い美女が出てくる、という設定。感情的なパフォーマンスが求められる一方、体を動かさないようにとの指示があり、途中からは首の後ろが支柱に固定され動けなくなった、とのこと。
主題歌の仕事で唯一ネガティブな体験だったと語るのは、第54回アカデミー授賞式でのパフォーマンス。派手なセットと演出が気に入っておらず、うまく歌えなかったのだそう。ボンド役のダンサーが直前に怪我をして急遽交代したり、会場のロビーで練習を強いられたりと、イーストンの思い通りにはいかなかったようです。
007映画の主題歌の中で特に好きなのは、シャーリー・バッシーの3作。イーストンは現在も007映画のファンであり、ビリー・アイリッシュの主題歌も評価。最新作『007/ノー・タイム・トゥ・ダイ』鑑賞を楽しみにしているそうです。
『007/ユア・アイズ・オンリー』公開からの40年を振り返ったシーナ・イーストン。この主題歌を歌えたことに生涯感謝する、と語りました。