EW.com(2021年9月14日付)は、007シリーズのキャスティング・ディレクター、デビー・マクウィリアムズとのインタビューを掲載しています。
『007/ユア・アイズ・オンリー』から最新作『007/ノー・タイム・トゥ・ダイ』にかけて、ほとんどの007映画でキャスティングを担当してきたマクウィリアムズ。
新ジェームズ・ボンドの選定プロセスについては、多くの候補者から数人に絞り、スクリーン・テストを実施。スタント評価も行い、関係者全員に会うとのこと。プロデューサー、スタジオ、監督らとの合議であるものの、プロデューサーが強い権限を持っているそうです。ただし、プロデューサーはスタジオ側が強固に反対する俳優をキャスティングした例はないはず、とのこと。
『007/ユア・アイズ・オンリー』ボンド・ガールの一人として、カサンドラ・ハリスをキャスティングしたのもマクウィリアムズの仕事。ハリスはギリシャ・ロケに夫のピアース・ブロスナンを帯同。ブロスナンはカビー・ブロッコリらの目に留まり、これがきっかけで、5代目ジェームズ・ボンドへ就任します。
『007/カジノ・ロワイヤル』のジェームズ・ボンドは当初、かなり若い新人(トライアウト)のキャラクターという設定で、やがて今知られているようなボンドへと成長していく、という筋書きだったそうです。しかし、適材が見つからず、これまでのフォーミュラへ軌道修正。マクウィリアムズの中では、ダニエル・クレイグはこの軌道修正後に有力候補になったとのこと。その頃クレイグを推していたのは、彼女とバーバラ・ブロッコリの二人だけだったようです。
『007/カジノ・ロワイヤル』に登場する悪役のル・シッフルはフランス系の名前でもあり、当初はマクウィリアムズの推すフランス人俳優をキャスティングする予定だったとのこと。しかし、スタジオ側は反対。バーバラ・ブロッコリはクレイグをボンドに就ける闘争で勝利していたため、悪役の配役ではスタジオ側に配慮し譲歩。仕切り直しとなりますが、既に撮影を開始していたプラハに偶然、以前から注目していたマッツ・ミケルセンも別の仕事で滞在しており、これが彼の起用に繋がったそうです。
『007/ノー・タイム・トゥ・ダイ』のサフィン役には、ラミ・マレック側へ誘いをかけていたそうですが、エージェントから反応が返ってこなかったとのこと。マクウィリアムズは『ボヘミアン・ラプソディ』試写会後のパーティーに参加。そこでラミ・マレックと直接会う機会が訪れます。「エージェントから007映画について連絡は入ったか?」と尋ねると、マレックは「なかった」と返答。マクウィリアムズがずっと前からアポを取ろうとしていたことを明かすと、マレックはその場でエージェントへ電話。翌日にはマレックらと交渉が始まったとのことです。