Entertainment Weekly(2021年9月23日付)は、キャリー・ジョージ・フクナガ監督による映画『007/ノー・タイム・トゥ・ダイ』イタリア・シーンの解説を掲載しています。
イタリアは、プレタイトル・シークエンスの舞台。
墓場のシーンは2019年秋にマテーラで撮影された。このロケ地を薦めてきたのがプロダクション・デザイナーのマーク・ティルデスリー。モノクロームの風景が、ネクロポリスを思わせた。高架橋はマテーラから30〜40分離れた街、グラヴィーナ・イン・プーリアで撮影したが、劇中では全て同じ街が舞台のように見せている。
街中のロケでは、ダニエル・クレイグがスーパースターだということを思い知らされた。彼の行くところ、見物人が大挙して押し寄せた。
ダニエル・クレイグはアストンマーティンDB5が回転する「ドーナツ」シーンを自分でやった。朝起きて現場に向かおうとすると、街の向こう側からエンジン音が響いてきて、クレイグが練習していることが分かった。
墓の前では、ボンドがヴェスパー・リンドに最後の別れを告げる。ボンドとヴェスパーのロマンスはイタリアが中心だったので、同じ地で終わらせようと考えた。マドレーヌ・スワンと前に進むためには、過去との決別が必要だった。「許し」はプレタイトルの大きなテーマだ。
墓地は古く見えるが、この映画用に作ったセット。マテーラの風景がよく映るような通路を墓地内に敷いた。つまり、この墓地はカメラ・ポジションを考慮した上で作ってある。