Variety(2021年10月9日付)は、映画『007/ノー・タイム・トゥ・ダイ』のプロダクション・デザイナー、マーク・ティルデスリーによる制作過程の解説を掲載しています。

自分はダニー・ボイルが監督だった時に雇われた。キャリー・ジョージ・フクナガに交代した際、いくつかのアイディアはリサイクルした。

引退後のボンドが暮らす場所として、当初はヨーロッパや山の中を検討していたが、バーバラ・ブロッコリがボンドのスピリチュアル・ホームであるジャマイカを提案した。

ジェームズ・ボンドの家を作る際は地元の大工を雇い、ジャマイカ、日本、ヨーロッパのデザインを融合させた。

サフィンの基地のセット・デザインは、『007は二度死ぬ』の火山セットへのオマージュだ。キャリー・フクナガ監督は日系でもあり、東京が舞台の一つだったが、実現しなかった。

『007は二度死ぬ』や『007/ドクター・ノオ』のケン・アダムのセットも参考にした。藻のファームや毒の庭園は、『007/ムーンレイカー』を参考にしてある。

フェロー諸島で撮影したが、ミサイル・シーンで見下ろす景色は、視覚効果で処理した。庭、タワー、コリドー、地下タンクなどは実際にパインウッド・スタジオでセットを作った。

ブロッコリ・ファミリーはイタリアを愛している。自分もマテーラから遠くない場所を所有しているので、土地勘があった。ジェームズ・ボンドはマテーラでヴェスパーに別れを告げるが、この地では美しい祭りがあり、ぴったりだった。夜のシーンでは実際に紙を燃やした。

マドレーヌのファミリーの家は当初、スウェーデンで探していたが、ノルウェーに落ち着いた。凍った湖の上に家のセットを建てたが、氷が溶け始めたので、支柱で支えた。その後に、再びパインウッド・スタジオで建て直した。これはマドレーヌのファミリーが自ら建てたという設定だ。マドレーヌが後にこの家に戻るシーンでは、ペンキを塗り直してある。

Qの家はウォータールー駅の近くにあるという設定。ロンドン中心部にある古いヴィクトリア調の家を探した。家の窓からは鉄道の線路が見える。

キューバは2週間ほど見て回った。気に入った建物を幾つか選び、スタジオで混ぜ合わせてセットを建てた。ある晩、夕食をとったレストランの階段の下には路があり、これを参考にした。