映画007シリーズ公式サイト(2021年11月26日付)は、ダニエル・クラインマンとのインタビューを掲載しています。

ダニエル・クラインマンは『007/ゴールデンアイ』のメイン・タイトル・デザイナーに就任。以降、最新作『007/ノー・タイム・トゥ・ダイ』までの8作品を担当してきました(『007/慰めの報酬』除く)。

昔からタイトル・シークエンスのファンだったと言うクラインマン。1980年代のMTV台頭時期からミュージック・ビデオを手がけており、グラディス・ナイトの『007/消されたライセンス』主題歌のMV制作をオファーされます。

『007/ノー・タイム・トゥ・ダイ』では台本を読み、ボンドのDNAは何だろうかと考え、思いついたのが銃。二重螺旋のワルサーPPKから放たれた銃弾がこれまでに関わった人物の顔を描きます。

本作では、キャリー・ジョージ・フクナガ監督、マイケル・G・ウィルソン、バーバラ・ブロッコリらと密接に作業。フクナガ監督はレトロな雰囲気を出すためにフィルムで撮影したそうですが、技術的な問題があり、クラインマンはタイトル・シークエンスはデジタル撮影。その際にはグレインを加えてフィルム効果を出したとのこと。

タイトル・シークエンス冒頭ではブリタニア像が崩壊しますが、これはMの失態とイギリスの国威凋落、ボンドが古巣に対抗する様子を示しているとのこと。ソ連時代の彫像が崩れる『007/ゴールデンアイ』へのオマージュ的な意味合いもあるようです。

タイトル・シークエンス中で俳優やスタッフの名前を表示させるタイミングや場面については、定まったルールはなく、さほど考慮しないとのこと。これはリストに掲載の名前や順位が絶えず変更され、最終的に確定した段階では既にグラフィックスが出来上がっていることがその理由のようです。

また、『女王陛下の007』を想起させる時計・砂時計などが使われていますが、色調も『007は二度死ぬ』など1960年代の007映画とリンクさせているとのことです。