The Hollywood Reporter(2021年12月7日付)は、イオン・プロダクションのプロデューサー、バーバラ・ブロッコリとのインタビュー記事を掲載しています。

バーバラ・ブロッコリはロサンゼルス生まれのロンドン育ち。一番古い確かな記憶は、6歳の頃に訪れた『007は二度死ぬ』撮影中の日本での体験。茶会や着物姿の美しい女性たちに魅了されたそうです。

1970年代、10代の頃に初めてエンタメ業界で得た仕事が、The Hollywood Reporter誌でのインターン。

正式に働き始めた007映画が1977年公開の『007/私を愛したスパイ』。宣伝部門で写真にキャプションを付ける仕事でした。大学を卒業すると、007シリーズにフルタイムで参加。父親のアルバート・R・ブロッコリを支えます。

バーバラの語る007シリーズ成功の秘訣とは、時代と共にジェームズ・ボンド像を変えること。原作が書かれた1950年代からは世界が大きく変わっており、ボンド像を絶えず刷新する必要があったとし、新俳優を迎えることでそれが実現できる、と指摘しました。

バーバラによってボンド役に起用されたダニエル・クレイグは、二人が初めて会った日を振り返ります。それは2004年、あるキャスティング・ディレクターの葬儀で。クレイグはバーバラに話しかけられた時、「いったい誰なんだ?」と思ったのだそう。バーバラ・ブロッコリの存在は知っていたようですが、名前と顔が一致していなかったとのこと。彼女はその出会いよりもずっと以前から自分のことを追いかけていた事を後に知ったそうです。

クレイグ時代は『007/ノー・タイム・トゥ・ダイ』をもって終焉を告げました。バーバラはシリーズ次回作『Bond 26』のボンド役俳優について尋ねられると、「男性になると思う。女性がジェームズ・ボンドを演じるべきとは思わない」と返答。男性が演じてきた役に女性をあてるよりも、女性に相応しい役を提供することが重要であるとの考えを示しました。

また、ボンド役は「イギリス人であるべき。イギリス人であれば(民族性や人種を問わず)誰でも」と明言しています。

『Bond 26』の監督には、『007/ノー・タイム・トゥ・ダイ』のキャリー・ジョージ・フクナガを希望しているとのこと。バーバラはフクナガ監督を「素晴らしい仕事を果たした」と高く評価していますが、「彼がまたやってくれるのか分からない」とも答えています。

AmazonによるMGM買収が発表されましたが、同社のジェフ・ベゾスとはまだ直接話していないとのこと。2022年に買収承認が下りるまでは、本格的な話し合いは始めないそうです。現時点で確かなことは、『Bond 26』がAmazon傘下のMGMによって製作されることだけ、とのこと。

バーバラのキャリアにおいては、交渉相手となるスタジオ重役が何度も入れ変わってきました。「一時しかいない人間に長期計画を任せるな」が父親カビー・ブロッコリの口癖だったと言います。バーバラはこれを戒めとしながらリーダーシップを発揮し、007シリーズを守っているそうです。

バーバラと元夫フレドリック・ゾロとの間にできた一人娘、アンジェリカ・ゾロは現在29歳で、フィルムメーカーとして活躍中。32歳の養子マイケルは俳優を経験後、音楽の道を邁進中。

インタビュー実施時期は2021年11月末。ニューヨーク発ロンドン行きフライトの同乗客がCOVIDに感染していたため、ひとりで隔離期間を過ごす羽目になったようです。