ITV(2022年7月13日付)によると、映画『007/ドクター・ノオ』にフォトグラファー役で出演したMarguerite LeWars(マルグリット・ルウォーズ)が、同作のテレンス・ヤング監督から性暴力の被害を受けていたことを明かしたようです。

Marguerite LeWarsは、007ファンによるポッドキャスト「Really, 007!」に参加、『007/ドクター・ノオ』出演を振り返りました。

Behind Dr. No – Marguerite LeWars interview

事件が起きたのは、クランクイン後のビーチ・パーティーへ向かう為、ヤング監督とリムジンに乗っている間のこと。途中でショーン・コネリーとウルスラ・アンドレスも乗り込んだそうですが、監督から耳打ちされると、二人は降車。

するとヤング監督は車内でLeWarsの体中を掴み始めたとのこと。監督はLeWarsに顔を叩かれてもなかなか止めず、拒否する彼女に対し、お前のシーンを映画からカットする旨の脅迫をしたようです。

2ヶ月後、LeWarsのところへ、パインウッド・スタジオに来てアフレコに参加して欲しいと監督から電話が。しかし、LeWarsは監督の要求を拒否。これが彼女の声が吹き替えられた本当の理由とのこと。監督からは謝罪がなかったと言います。

Marguerite LeWarsはジャマイカ出身。1961年のミス・ジャマイカにも選ばれました。最初にテレンス・ヤング監督と会ったのはキングストン空港で勤務中とのこと。その時、「長年に渡って続くであろう世界で最も有名になる映画シリーズ」への出演をオファーされたそうです。

LeWarsは気に留めなかったそうですが、3ヶ月後にヤング監督はプレゼントを持って再び空港へ現れ、彼女にミス・タロ役をオファー。ベッドシーンが嫌だったため断りますが、代わりにフォトグラファー役を引き受けます。

映画の中で彼女の役名は明らかにされておらず、単にフォトグラファーとクレジットされていますが、フレミングの原作ではAnnabel Chung(アナベル・チャン)と表記されています。

LeWarsが60年間沈黙を保ってきた理由は、「誰も傷つけたくなかったから」なのだそう。自分はこれ以上映画界と関わりたくないと考えていたから、監督にノーを突きつけることができた、とも語りました。